「ないなら私たちがつくる。」キャンプ女子株式会社が目指すキャンプ2.0

国内のアウトドア市場は5,000億円。5年前の4,000億円と比べると比較的伸びている産業であると言って差し支えないだろう。その中でも群を抜いて市場が拡大しているカテゴリがある。ライトアウトドアといわれるキャンプやBBQなど日常で楽しむイベントで、近年では女性誌でも特集を組まれるほど、特に若い女性を中心に人気を集めている。

このブームを牽引していると言われているのが「キャンジョ」。インスタグラムキャンジョは2018年8月よりスタート、開始3ヶ月でフォロワーは1万人突破。2020年3月現在ですでに4万フォロワーに届く勢いで成長している女性キャンパーのためのWEBコミュニティである。

「キャンジョ」を運営するのは、福岡に本社をおくキャンプ女子株式会社。設立は2019年6月のスタートアップ企業だ。代表を務めるのは、自身もキャンジョ(キャンプ女子)である橋本加恋氏。
今回は女子キャンプブームの先に、キャンプ女子株式会社が見据えているものは何か。橋本氏に直接話を聞いてみた。

橋本華恋(はしもと かれん)
1990年熊本県生まれ。2018年「キャンプ女子/キャンジョ」コミュニティを立ち上げ、2019年6月にキャンプ女子株式会社設立。
現在、キャンプ女子株式会社CEO兼、キャンプを楽しむ女性のためのコミュニティ@camjyo/キャンジョの代表を務める。

遊びの向こう側にキャンプがあった。

橋本:会社を設立する前は、企業でセールスとして働いていました。当時からお酒を飲むことが好きで、華金はもちろんオール。毎週土曜日は夕方5時から飲み始めて、朝まで飲み続けていました。しかも毎回ほぼ同じメンバーです(笑)。そんな週末の繰り返しだったのですが、その中にたまたまキャンパーがいて。こんなに毎回お店で飲んでいたら飲み代もバカにならないし、このメンバーでキャンプしたら安くなるんじゃない?と思ったのが、きっかけです。キャンプなら眠くなったらタクシーを使って帰らなくてもそのまま寝られるということも魅力的ですしね(笑)。

それが今から3年前くらい。私にとっては初めてのキャンプだったのですが、本当に楽しくて。コスパも間違いなくいいのですが、「焚火を囲んでお酒を飲みながら話す」って、とても贅沢な時間だと思いませんか?いろんな人が集まって、どんどん心許せる友人も増えていきました。キャンプで知り合う人とは仲良くなっちゃうんですよね。気がつくとキャンプにどっぷりハマっていました。新しい遊びを見つけた感覚に近かったです。

キャンプ場に対する募ってきた「もったいない感」

橋本:それからは色々なキャンプ場に足を運ぶようになったのですが、不都合をちょいちょい感じるんですよ。私が予約係だったのもあるのですが、例えばホテルや飲食店だったら、「じゃらん」とか「食べログ」のようなポータルサイトで、比較して選んで、空き状況確認して予約ができるじゃないですか。キャンプにはそれがなかったんですよね。行きたいキャンプ場を見つけても、予約はそれぞれのホームページからか電話で行わなくてはいけません。それどころか行ってみたいけれど、空いているかどうかもわからないようなキャンプ場の方が多いです。

今はキャンプブームも相まって良いのでしょうが、今後は私たちのようなデジタルネイティブ世代がメインターゲットの時代がもうすぐそこまで来ています。そうやって考えてみても、「なぜキャンプ場だけ、WEBサービスがないのだろう?」と、とてももったいない気持ちになりました。

キャンプを始めたい!と思っても、ハードルに感じる部分もあります。色々グッズを揃えないといけないし、でもレンタルしようにもカワイイものがないし、お金かかるし、キャンプ場ってだいたい都会から遠いし。手軽にキャンプ場を探して予約して、事前準備なしにパッと行けちゃう。そんなサービスが欲しい。ないなら私がつくっちゃおうと、一念発起。前職在籍中にプログラミングスクールに通ったり、市場調査をしてみたりと徐々に起業の準備を始めました。

「語るなら成果で」自社でキャンプ場運営をスタート

当初は、「福岡でキャンプ場の予約ができて、道具もレンタルできて…」というような手軽にキャンプ場にいけるようなサービスを作ろうとしていたのですが、業界を知れば知るほど、まず着手すべきはそこじゃないなと気がつきました。
というのも、現状キャンプ場の予約は電話、ファックス予約がほとんどです。でも私たちの世代からしたらwebで予約したいじゃないですか?今はブームですが、変わらなければきっと後がない。ますます燃えてきました。


※写真は同社が運営を手掛ける油山市民の森キャンプ場。道具がなくても手軽にキャンプが楽しめる「キャンシェルジュ」のサービスを展開している

まずは「インターネットを使うとこんなに便利なことができるよ!」ということを広めていく必要があると思いました。ですが、なんの実績もない新参者の意見に耳を傾けてくれる人なんてそう多くありません。そこで「語るなら成果で」と自分たちでキャンプ場を運営しようと決めました。行政に何度も営業をかけて、ようやく油山にあるキャンプ場を運営させていただくことになったんです。

油山ではweb予約をできるようにしたり、SNSを使ったブランディングやPRなどを積極的に行ったところ、34%の稼働率を達成。キャンプ場の平均稼働率が14%と言われていますから、これは異例のことなんです。そこから明らかに潮目が変わりました。油山キャンプ場の視察や運営委託のお話が増えたのはもちろん、今ではキャンプ場の運営コンサルの依頼もいただいています。一つ一つのキャンプ場を変えていくところから始めています。土日はほぼ毎週油山のキャンプ場にいるので遊びに来てくださいね(笑)

ホテル・旅館を予約するような感覚で、当たり前のようにキャンプが選択肢に入るようにしたい。

キャンプを含めたアウトドア市場は現在約5,000億円規模と言われていて、業界としては伸びている市場ではあります。でも運営の中に入るようになった今、私たちは明るくとらえていません。先ほども言った通り、キャンプ場の平均稼働率は14%。ほぼ土日利用で平日は予約がないなんてザラに起きています。一方旅館などの宿泊施設やテーマパークは平均40%です。それはインバウンドや平日休みのお客様を取り込んだり、研修などの他の需要を取り込んだりしてやっとの数字だと思います。ですから、キャンプ場もアウトドアのカテゴリで収まり続けるのではなく、旅行カテゴリに割って入っていく必要があると感じています。

実際にインバウンドの需要はすでに手ごたえを感じていて、キャンジョのSNSのフォロワーの7人に1人は台湾や韓国の方なんですよ。向こうではsnowpeakさんなどの日本のキャンプブランドがメジャーになっていることもあり、「実際に日本でキャンプしたい」ということを目的に大分のキャンプ場を巡っている外国人旅行者もいらっしゃいます。滞在中はホテルではなく全てキャンプ場に行くんです。

もちろんキャンプにもっと興味を持ってくれる人を増やす取り組みも重要だと思っていて、今後もキャンジョの運営には引き続き力を入れていく予定です。アニメ「ゆるキャン△」のように女の子がいきなりガチなキャンプは難しいんですよね。グランピング場から始まって、まずはテントで寝てみるってところからでも良いと思います。ハマったら毎週行きたくなるんです。そしたらグランピングではなく、快適なキャンプ場にもどんどん流れていく。キャンプの選択肢を加えてくれる人が1人でも増えてくれたら嬉しいですね。

最終的なゴールは「あの夢の国と並ぶアウトドアテーマパーク」

やりたいことは本当にたくさんあるんですけど、最終的には、キャンプ場でテーマパークを作るのが夢です。
もしかしたらグランピングは一過性のブームかもしれない。そういったブームとか関係なしに、自分たちが大好きなキャンプというドメインで、日本中・世界中の人たちを惹きつけるようなアウトドアテーマパークを作れたら最高だなと思っています。

スキルや経験はプラスアルファ、同じ志を持てるかの方が重要

これから事業を大きく成長するためにはもちろん組織作りも並行して行っていかなければならないのですが、スキルは二の次かなと思っています。だって私たちも全員未経験なので(笑)
キャンプ好きというのは共通していますけど。本当みんなゼロからスタートしています。
スキルよりも、同じ好きと志を持てるメンバーと一緒に働けたら最高ですね。

キャンプ女子株式会社
代 表:橋本 華恋
本 社:福岡市中央区大名1-3-41 ブリオ大名ビル2F
FGNオフィス:福岡市中央区大名2-6-11 Fukuoka Growth Next
設 立:2019年6月
資本金:200万円
サービス:@camjyo/キャンジョ
●キャンシェルジュ https://camcierge.com/ ●油山グランピング https://aburayama.camp/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUTこの記事をかいた人

石川昇

沖縄県出身。これまで10県以上で生活、前職の転勤を機に福岡へIターン。 現在は独立し、福岡と東京の2拠点生活に挑戦中。 福岡に住んで感動したことは、「移動のしやすさ」「スーパーの食材のおいしさ」「ゴマサバ」